散らかった六畳間へのメッセージ

好きなことを好きなだけ。

【ネタバレ有り】映画マッチング、5つの謎を深読みし過ぎてみた【考察というより妄想】

内田英治監督作の映画マッチングを観た。

今回のブログは特に構成も考えずメモ代わりに書きます。

※【以下、結末までネタバレ有り】※

 

 

 

 

 

映画マッチング

ウエディングプランナー・輪花(土屋太鳳様!最高だった!ただ精神すり減ってないか心配になった)が、とあるマッチングアプリに登録したところからストーカー吐夢(これまた最高の佐久間大介様)につきまとわれたり家族の秘密やとある事件に巻き込まれていくサスペンススリラーといった作品。

 

全体的にはマッチングアプリ婚をきっかけに起こる事件や主人公の家族の秘密について明らかにされていく大筋の過程は理解しやすかった。しかし、変に深読みしすぎたのか見過ごしたのか、映画が終わってもわからなかった点があった。

今回、特報と予告編以外情報ない状態で観たのでインタビューなども読んでおらず…ここに感想を記録しておいて、今後小説を読むか副音声付き上映を見るかインタビューを漁るかなどしてそこに何かあるのか、何もないのか、真実を確かめに行きたいと思う。

 

(感想を謎と称して書いている、そこに何もないかもしれませんし初見うろ覚えなので間違った記憶だったらすみません。考察というよりは、妄想入ってるかも。

とりあえず小説読んだら更新予定)

 

5つの謎

①結局アプリ婚事件の動機は?☓の意味は?

②吐夢が指を写メした意味は?

③輪花、クローバーの絵飾ってるの?

④待受、輪花だけ雑コラだった?

入山法子様いなかった?

 

それぞれ詳しくメモメモ。

①結局アプリ婚事件の動機は?☓の意味は?

いきなり結末ですけどシンプルにこれ。

おそらく影山(ゾクゾクさせてくれた金子ノブアキ様)はアプリで輪花を見つけて恨みからの犯行、が動機だったはず。で、問題はアプリ婚のほう。これは吐夢が…みたいな終わり方だったけれど、それってなんで?輪花の式場で起きてたのは輪花と繋がるよう仕向けるため?輪花怖がらせるため?だとしたら輪花のこといつから知ってた?それとも無関係のサイコパス?色んなアプリでトラブル起こしてた時はどんなトラブルやらかしてたん?やたら☓描くのはなんで?

→冒頭と、吐夢が輪花を庇って負傷するところの描写から十字架と考えるのもアリ?

そう仮定するとアプリ厄介枠の吐夢が利用されていたわけではなく兄弟バリバリ協力してる説も出てくる。取調室でも不敵な笑みだったし。警察沙汰をアプリ入れとるのも不自然だし。ってかどっちも☓してるし。え、どっちも☓しとるやん。そのへんの傷の付け方は警察は報道機関に発表したんか?兄弟ならではのシンクロ奇跡?

いや、協力はないか…それぞれ違う方向から輪花への、母親への思いを向けていたからタッグを組むはずはないんだよね…

 

あと最初のほう長靴で節子(これまた凄かった斉藤由貴様)のお家を懐中電灯持ってうろついてたのは吐夢かなと思うんだけど、それは輪花を調査してたらたどり着いたんだよね…?そもそも近付いたのは自らの出生や兄弟関係について知る前?後?アプリでマッチングが97パーを叩き出したのは血の繋がりからなのか、たまたまなのか、操作されていたのかは、時系列次第

 

以下手短に

②吐夢が指を写メした意味は?

ただ吐夢がエグいだけなのか、何かそこにも意味はあるのか…

 

③輪花、クローバーの絵飾ってるの?

節子がクローバー渡したこととかうろ覚えだった割に絵は飾ってるんだよなあ、絵に描かれた隣の人、服…赤かったよね?確か(うろ覚え

 

④待受、顔だけ雑コラだった?

屋上で話すシーンで結婚式の雑コラ作ってたけど輪花の顔だけ合成だったように見えたけど(全身だったら私の勘違い。ごめん)、顔だけ合成ならそれじゃあ吐夢の隣に実際にいた女性は実際は誰だったんだって話

 

入山法子様いなかった?

レコードショップのシーンで白い服来た女性が横顔だけしっかり映るんだけど入山法子様に似ている気がしただけ

なんかあるのかと思ったら何もなかったので似てる方だったのかな?

 

 

以上、舞台挨拶中継行けないから誰か確かめてきてくれーーーー(グロいから、ここまで読んでこれから初見な方が万が一いたらそのへんは要注意です)

口笛への好奇心、復活

それは革命前夜か、最後の晩餐か。

 

いかにも型や枠からはみ出しそうな個性を持つ9人からの新たな仕掛け。

「はみ出ちゃっても、間違いじゃない」

天真爛漫駆け抜ける、歩みを止めない彼らに踊らされるしかない。むしろこちらから、「このまま一生踊ってたい」。掌で転がしてください。

 

アジアンテイストなレストランで突如始まるショー。

それはシュールでクール、中毒が止まらない片足バランス。

楽曲の展開が絶妙。

この夏を火照らせる、熱帯夜ディスコナンバーが爆誕した。

 

私の中で今年のベストテンが早くも固まりつつあってもう揺るがないのではと思っていたところをぶち抜いていった傑作を、ぜひYouTubeでお楽しみください。

 

Snow Man新曲、JUICYの感想でした。

 

Snow Man 「JUICY」 Music Video YouTube Ver. - YouTube

 

JUICYの一番インパクトがある点といえば口笛のような音にのせて片足バランス立ちするところを上げる人が多いと思う、とにかく頭から離れない。聴きすぎてあのメロディを口で吹けるようになった気がして試してみたがただの呼吸だった。

そう、私は口笛が吹けない。

 

なんか悔しいので口笛講座のYouTubeを見て勉強し始めた。そうしたらビックリ、口周りの筋肉がとにかく痛い。いつものクセで口笛吹く方とか、みんな軽い雰囲気で相当なことをしていらっしゃるんですね(おそらく私が力んでいるだけかもしれないが吹けたことがないのでわからない)

 

こうして私の「人生のうちに一度だけでもやってみたいこと」リストの中に口笛が追記され、特訓の日々が始まったとか、始まっていないとか。

 

ちなみにJUICYのメロディも歌声も振り全て私の心臓ストライクなんですが、ギターとベースがあまりにも素敵。楽曲のテイスト的に打ち込んでいるパートもあるだろうし詳細は何も発表されていないが詳細を知りたいところ。

【ネタバレ有】眠れない真夜中に放送していてほしい実写映画・おそ松さん

「頭をからっぽにして…」


実写化された「映画 おそ松さん」の宣伝の際に幾度も聞いたこのフレーズ。


作品を見る前は、

こんなご時世だからこそ脳内を埋め尽くしているたくさんの物事や感情をいったんロッカーに預けてこのギャグ映画を味わい笑顔になろう

といった意味合いだろうと解釈して近所の映画館に向かった。


しかし上映中、私は主演のSnow Manが念を押すかのようにこの宣伝文句を多用していた意味を思い知ることになる。(彼らがそんなつもりだったわけではないと思う)


なぜなら場内が明るくなった時に最初に感じたことが「脳みそのキャパオーバー」だったからだ。

頭からっぽにして臨まないととんでもない情報量のエネルギーを投げつけられるぞ。

(上映終了が迫る中でも注意喚起)


※筆者の状況:Snow Manファン歴1年半ちょっと、アニメおそ松さん未視聴だがA応Pの主題歌好き(TIF現場参加歴あり)
おそ松さん大好きな友人の教え等で基本知識は取得済、先にアニメ見ようか迷ったけどいっそ映画を見てからにするかと決意

上記によりドルオタ目線バイアスはあるかもしれない。
本作出演者の顔が美しいことは常識なので割愛、原作再現度や解釈についての一致不一致問題は未履修が語るべきところではないので割愛。
あくまで「映画館に映画として見に行って作品をどう感じたか」という感想です。

 

 

↓以下ネタバレもあります↓

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 


結論、映画としてとにかく自分の好みドストライクだった。脚本と演出と音楽の力が強すぎてびっくりした。


まず、松野家の六つ子のクズエピソード・下ネタ連投からの兄弟仲良し話と続き「こんな感じで何個も小さなエピソード消化する感じで進むのか…?」と戸惑うが、その想像をはるかに超える数のエピソードをこなさないと映画が終わらないことに途中で気付く。


少し中だるみしそうなところでしっかり大富豪と出会い物語が加速するのがとても気持ち良い。しつこいくだりもあるがそれもしっかり演劇になっていて、勢いで笑かすところもあったがそれだけではなかった(後半の一同が集まる大詰めに向けて仕込んでいくところもたくさんあった)からか、舞台を観ているみたいだった。ギャグ映画なんだけどシチュエーションコメディ。え、どう違うの?ニュアンスの問題…

(知ったかぶりすな)

(定義で考えるとセットが幾多にも及ぶ物語なのでシチュエーションコメディと呼べないのかもしれないけど、物語の雰囲気はコントとか舞台とか本当にそのニオイがしたのでそういうニュアンス。語彙がなくてすみません。誰かわかってくれ)

 

ラストの好みは分かれると思うし時に表現の仕方がお、おう…となったりもした点も含めてのそれ。オチが終盤になってから一気に来るコントグループの新作見せてもらった気分。


(そういえば舞台でも映画でもないってキャッチコピーの舞台映画あったよねちょっと前に。あ、その主演もSnow Manだったわ)

 

 

六つ子がそれぞれ主人公になってラブストーリー・デスゲーム・アクション・時代劇を展開し始めるんだけれどこれがいわゆる「映画あるある」のオンパレード。


設定全部なんかで見たことあるのが凄い。ラブストーリーなんてもう「君の名前」聞いちゃってるし。これ進〇ゼミで見た!って言いたくなるかのようなデジャブ要素の作り込みの巧みさ。

この2時間弱で映画何本観た気になるつもりなの、私?


取っ散らかったところに現れるオリジナルキャラ「物語終わらせ師」。この登場のタイミングが抜群。だってオリジナルキャラという「実写化最大の地雷案件」をカオス過ぎて劇場内の空気が困惑し始めた頃に投入するのよ?


観客にとって「問題点」が「救世主」に変わる瞬間をこの目で見ました。


がんばれ終わらせ師。あの六つ子らを止めろ。主人公を止める側を場内ほぼ全員がきっと応援してしまったであろう奇跡の展開。


ポンコツ終わらせ師。六つ子、なぜか物語を終わらせない方向に自らの意思で動き出す。なんだその勘の働かせ方は。その発想力と行動力あれば本当はなんでも出来そう。布団には愛だから仕方ないか。


不憫終わらせ師。最終的に姿形変わるまで己を犠牲にしてしまう終わらせ師。どうして…

 


終わらせ師最終的にフラッフラだけれど(ピリオドは相棒が出来てエナジーチャージしちゃってるけど)物語がムリヤリながらひとつに収束していくところは「今映画観てる~!!」て、特大エンタメ感じてました。そういう瞬間が好きなので自粛続きだった身に沁みた。嬉しかった。

 

 

 

そして劇中の音楽の破壊力がこれまたとてつもない。主題歌「ブラザービート」が物凄いインパクトを持っている楽曲で耳から離れないのに(これについてはまた別の記事で言及出来ればいいな)、映画終わったとき脳内をかけめぐるのは挿入歌。


淡い色の映像に載せられたエモめのロックバラード。極道から抜け出せなくなってしまった男のバックで流れるのは夜の街に似合う英詩ラップ。サントラください。

 

 

 

クセが強すぎる中にも「映画大好き、演劇大好き」が詰まった脚本・演出・音楽のマリアージュに添えられたSnow Manも舞台班仕込みのテンションで(でも舞台発声じゃなかったので演技ちゃんとしてるんだなって思った)(失礼)、
振り切って演じていただけにしっかりカオスな世界観に没入して観ることが出来た。

 

 

 


実写版の「映画 おそ松さん」、とにかく「映画を観に来た!」と強く感じられる最高のエンターテインメントだったのだが、これは万人にウケる大衆向け超大型ヒット見込み映画とは全然ベクトルが違う

「深夜2時に眠ることを諦めてテレビつけたら集中して見てしまいそうなシチュエーションコメディの劇場版」

といったポジション。


(この解釈してる時点でおそ松さん実写の概念としては正解を叩き出しているってことじゃん、と後から気付いた。)


そう考えると深く刺さる人もいれば一切刺さらない人もいて当然なわけで、評価がわかれまくっているのも頷けるしそれすら面白い。

公開していた劇場数などは妥当な感じだと思ったのにこの規模で興行収入いい線行ったのがミラクル過ぎて最高だなといった感じ。


私は映画をたくさんは観に行けていないのでこの辺の事情詳しくはないのだが、正直この手の作品(脚本がひたすら巧い~って思わず唸ってしまう作品)ってテレビドラマでは意外と数字に結びつくのが一握りな気がしているので。第一印象のインパクトなんぼ、センセーショナルなんぼの世界なので。


だから、ここまで作品を当てたキャストや原作の話題になれるパワーは凄い(出会わせてくれてありがとうと思った)し、監督をはじめとしたスタッフがこのボリュームを2時間以内にまとめた力量に感服した。

 

監督は昨年東京リベンジャーズの実写をヒットさせた英勉氏、脚本はウレロやLIFE等も手掛けている土屋亮一氏。音楽はアニメと同じ橋本由香利氏。

 

このお三方は今後もとにかくチェックしまくりまっせ!

普通の恋と味噌ラーメン

 

ドラマ「消えた初恋」にハマっている。

 

 

「消えた初恋」は消しゴムにまつわるとある勘違いをきっかけに始まる青春ラブコメディ。人気少女漫画が原作で、若手ジャニーズアイドル2人の恋愛モノとしても話題になっている。

 

物語の中で男子高校生同士の恋愛が描かれているが、秘めたる恋としてセンセーショナルな演出をするといったことはなく、かといって完全にパラレルワールドな「すべての価値観が当たり前に認められた優しい世界」というわけでもない(勿論、そのような描き方の作品にも名作はたくさんある)。

私達が過ごしているこの世界のどこかで起きていそうな、ひとつの日常系作品としてのナチュラルな仕上がりに個人的には心地よさを覚えた。これも時代の変化、というやつなのだろうか?(ヒット作「きのう何食べた?」なども近い印象を受けた)

 

さて、この作品で私の心に刺さりまくっているシーンがある。第8話のラーメン屋のエピソードである。

 

↓以下ネタバレ↓

 

 


物語は色んな出来事を経て青木・井田の男子高校生カップルが誕生。少しずつながら順調にお互いの距離を近づけているあたり。
第8話では教育実習生の岡野が歩道橋で手を繋ぐ青木と井田を目撃してしまい、それまで仲良く交流していた青木を遠ざけてしまった。

本当はテストで満点を取ったら青木と岡野が一緒に行くはずだったラーメン屋。兄のように慕っていた岡野に拒まれショックを受けた青木は、そんな自分の様子にいち早く気付き言葉をかけてくれた井田とラーメン屋に行くことに。

しかし岡野と遭遇。口論ののち井田との交際を宣言し「岡野先生偏見ヤバイよ」「俺、何も変わってないよ」と真っ直ぐ言い放つ青木、何も言えなくなる岡野…。

一緒に入店することになった3人。岡野は青木と井田の関係を知ったことは約束を断る理由としては不適切だったと謝罪する。3人が注文したラーメンは、味噌・醤油・塩とバラバラに分かれた。
「見事にバラバラだな。ここは味噌がウマいんだぞ」と店の看板メニューを頼むことを普通と捉える岡野だが、それぞれの好みを迷いなく選び味わう2人を見ながら「何を好きだろうと人の自由だしな」と呟くのであった…。

 

 

ここまで二人の関係に否定的な存在が登場したのが初めてであったため、劇中で嫌なヤツ感を一手に引き受けた岡野。だが、彼こそが、いや彼が頼んだ味噌ラーメンこそが(?)私の心に刺さってしまった。

恋愛に限らず、自分がこれまで抱いたことがない考え方に対してどう向き合うのか、特に教育に関わる立場なら学ぶ機会もあったであろう岡野が咄嗟の言葉で生徒を傷つけてしまう過ちからラーメンの味でひとつの気付きを得るまでが物語として実に鮮やかな流れであった。

「多様性を認めよう!互いを理解し合おう!」口にするだけでも大きな意味はあると思うけれど、実際には自分と異なる価値観を理解するのはきっと簡単なことではない。考え方が違うのだから、それが当たり前だ。

そんな時はラーメン屋くらいのノリで、「君はその味にするんだね、ふーん」でいい。他人の好みについて心の底からは理解出来なくたっていい。「そんな価値観も存在する」ことを知り、認めればいい。ただそれだけのことさ。

 

ラーメンを通して「気付き」があった岡野、いい教師になれるといいね。最強の好青年・井田にメンチ切られたままだけど…


改編している部分はあれど、かなり原作に忠実に進んでいる本作(ドラマ効果で最新号まで原作読破済←)。

普通とは何なのかを真正面から考えさせられる場面が多い。

「ウケねえよ」
「ちっとも変じゃないよ」
「その普通が間違ってるだろ」

青木の井田への恋心を決してなかったことにはしない台詞の数々。

 

アイドルオタク向け青春ラブコメの皮を被ったとんでもない傑作ドラマ、消えた初恋。ラスト2話も堪能させていただきます。

 

TVer

消えた初恋

第8話(12/11 23時まで視聴可能)

https://tver.jp/corner/f0089963

総集編

https://tver.jp/corner/f0090744

 

 

I pray for you

2020/12/29

今年もまた仕事を納め、意気揚々と職場を出る。

今日の帰り道は、2020年のマイベストミュージックを選ぶと決めていた。毎年ひたすら自己満足な発表をSNSにしているだけではありながらも、この作業が楽しい。

いつもチェックしているミュージシャンは勿論、新たにハマった方々もいて。選曲に集中し過ぎて降車を忘れないように気をつけないとなーなんて思いながら、すっかり空いてしまった車内の定位置につきスマホを開いた。

音楽フォルダをスクロールしようとしてすぐに、端末に放り込んだままなんとなく聴けていなかった曲があることに気付く。少し迷ったけれど、再生を始めた。

 

「逆毛の街に風が吹く ひと撫でしたなら もうじき花が咲くだろう」

 

彼女が紡ぐ曲はいつも、最初のワンフレーズで引き込まれる。

どんなタイプの曲調であっても、どこまでも突き抜けるキャッチーさと心をキュッと掴まれる切なさを兼ね備えたメロディ。そしてどこを切り取っても耳を傾けたくなる魅力的なギターの音色。

地下鉄の真っ暗な車窓が夕陽に染まるような感覚だった。

 

フェスでは彼女を観に何度も足を運んだものの、ワンマンライブには一度しか行けていないし、常に動向を追っていたわけではないため多くは語れないけれど、彼女の作品がリリースされたらチェックしていつも心動かされていた身として、この日のことを年内に書き残しておこうと思う。

 

「ちょっと黒いくらいの青い空がよく似合う」

 

こんなに美しい歌詞を聴いていなかったのか。年が変わる前に、出会えてよかった。

そして、もっともっとこの先も新しい曲を聴きたかったなあ。

 

「君の旅がどうか美しくありますように」

 

pray / 赤い公園

赤い公園「pray」Music Video - YouTube

 

 

 

 

あなたのヒーローは、誰ですか?〜Snow Man無観客デビューライブを観て


音楽とは、ヒーローである。

 

 

幼い頃は、見ていたアニメや特撮ドラマの登場キャラクターに憧れ、活躍するシーンに合わせて流れる歌が大好きでクリスマスに主題歌やサントラのCDをおねだりした。


小学生の頃、バラエティ番組で無理難題に挑戦するタレント達が歌う楽曲に夢中になり、初めてひとりでお小遣いを握りしめてCD屋へ向かった。


思春期特有の不安定な気持ちを抱えていた頃には、大好きなバンドのライブに行った。MCでは普通のお兄さん達の渾身の演奏に圧倒され、強くはなれない揺れてる自分のままでいいんだと何度も救われた。


「悩んだ時に背中を押してくれて、悲しい時に寄り添ってくれるヒーロー」


私にとって音楽を作り出し表現する人達はそんな存在であると感じたことが音楽を好きになった始まりであり全てであった。


 


社会人になり、週1回以上のペースでライブ会場へ足を運ぶようになった。好みは少しずつ変われど、どんな時も傍らに音楽を感じられることが日々の癒しであり生き甲斐だった。CDショップやSNSでの音楽に関する話題も常にチェックしていた。


しかし、贅沢なことに私はこの恵まれた環境に慣れてしまっていたところがあった。

仕事の疲れが残るようになった身体で会場に入っても、どこか集中することが出来ない日が続いた。昨年末辺りから、ライブを生で観る奇跡を1秒でも忘れてしまう自分にふと悲しさを覚えた。


好きなものとの向き合い方をそろそろ変えなければいけないのかなあ。


そんな考えを抱いたまま、ウイルスによってライブ会場に入ることが許されなくなってしまった。

 


 

「その後ろのハンガー、誰の顔?」

 

2020年春、私は感染症対策による外出自粛要請を受けて、音楽好きの仲間ともビデオ通話のみで会うようになっていた。


とあるミュージシャンのライブ会場で知り合い仲良くなった友人が、デビューしたての若手アイドルに突然ハマったらしいとは噂に聞いていて、その日のオンライン飲み会でどのグループなのか教えてもらった。


Snow Man


一応J-POP好きとしてトレンドの曲は常にリサーチしていたつもりであったが、恥ずかしながら知っているのはグループの名前と、巷で話題のSixTONESと同時デビューした人たち、ということだけ。過去に似た名前の合唱団いたよね?とは思ったが、それはまた違うらしい。

その日も彼女の部屋にグッズとして飾られていた「ふっかさん」だけを覚えて終わった。

 

  

それなのに、3ヵ月後には私は彼らのデビューシングルと主演舞台のBlu-rayを購入するまでに至った。


 

6月、Snow Manの人数すら知らない状態でジャニーズ事務所主催の配信ライブを観た。

新しさの中にもavexアーティストらしさ溢れるダンサブルなデビュー曲「D.D.」、EDM調の「Crazy F-R-E-S-H Beat」などクセになる楽曲と渡辺翔太の儚くも力強い歌声、ラウールの圧倒的なオーラなど…期待値を遥かに超えてきて気になる存在になった。


 

その後、7月の音楽特番で披露されたミディアムナンバー「KISSIN' MY LIPS」で完全ノックアウトされた。


全英詞にアコースティックギターとベースが効いたトラックで楽曲自体のクオリティが高く6月の配信でもいいな、とは思っていたのだが、その日は復帰した岩本照含む9人の歌とダンスから放たれたエネルギーに圧倒されてしまった。


それぞれが強烈な個性を放つため決して動きが完全にシンクロしているわけではなかったのに、しっかりまとまりバランスが取れている。それを可能にしてしまう全員のパフォーマンススキルの高さ。全員が魅力的。


デビュー1年目でこの曲を自分達のモノとして完璧に咀嚼出来ていることにまさに「衝撃」を受け、しばらく頭から離れなかった。


数日後には、絶対に覚えきれないと思っていたメンバー全員の名前と顔を把握していた。彼らの情報をチェックするという新しい習慣によって、どこにも行けない毎日が突然潤いだした。

 

 

今年春に行われるはずが中止となり、10月22日より4日間配信のみで全9公演開催されたデビュー後初のワンマンライブ「Snow Man ASIA TOUR 2D.2D.」。


行けるわけなんてなかった公演を観ることが出来るありがたみと、本当は行くはずだったファンや観客を迎えられなかったメンバー・スタッフの悔しさを考え、複雑な気持ちを抱えながら視聴チケットを購入し自宅の「神席」で開演を待った。


開演からほぼ休憩なしで40分経ち、ようやくMCに入った。一息ついたと同時につい私は声に出してしまった


「やりやがったな…Snow Man


これまでテレビ番組やオンラインイベントでは、衣装チェンジなどを収録ならではの演出で魅せてくれた彼ら。

デビューライブが配信になりどういうアプローチをするのだろう、と観ていたが、これは、配信ならではの演出変更をほぼやらずにお客さんがそこにいるかのようにやるつもりか…?


  


彼らはとにかく動く。


「Make It Hot」での天井からのド派手な登場から始まり、「Acrobatic」では手を振りながらポールのついたトロッコでアリーナを外周、そのまま突入した「ナミダの海を越えて行け」ではアリーナ席最後方からセンターステージまで自分の脚で走る、走る、走る。

緩急こそつけていたものの、ステージ移動以外はほぼ踊る。ノンストップで歌う。

 

動き回るからこそこれでもか、と背景に映る空席。ダイナミックなパフォーマンスや演出により寂しさは感じさせなかったが、時折ライトが置かれた客席の方を向いて歌い、手を振るメンバーたちを目にすると

「自分が生でライブを見れなくてもいいから会場を観客で埋めてあげたかった」

という気持ちが強くなった。

 

しかし彼らはラストの楽曲である「D.D.」を歌い終えるまで寂しそうな顔を見せなかった。全ての瞬間を意味のあるものにして楽しもう、と気合いに満ちていることは明らかだった。


印象的だったのは前半パートの「Party!Party!Party!」、後半の「終わらないMemories」から「Don't Hold Back」の花道が人数分に分割されるステージを利用していた場面だ。引きのカメラワークが特に美しかった。


また、クライマックスで激しいダンスナンバーを続けた最後に岩本照・宮館涼太が壁をかけ登ってからバク宙してみせるまでの流れには、画面の前で無意識に拍手してしまった。

 

 

これまで私が視聴してきた無観客配信ライブは、客席を感じさせないステージングが多かった。

彼らも、「配信で魅せる」という意味合いを考えれば、身体への負担を考慮し公演数を減らしたり、ステージ移動の演出を削ったりする選択肢もあったのでは?とも個人的には思う。


しかしチームSnow Manは、あえて会場中に用意された自分たちのためだけの仕掛けを使い切り、臨場感を持たせた。まさしく「観客ゼロのデビューライブ」。

その姿を、可能な限り多くのファンに神席で見届けてもらい、一生に一度のデビュー公演への想いを昇華させたのではないだろうか。トロッコも銀テープも彼らを祝福しているかのようだった。


客席を見つめながら大きなスクリーンの中に消えていくラストは、映画「ターミネーター2」の溶鉱炉のシーンなのではないかと錯覚するくらい興奮と切なさが同時に襲ってきた。

この圧巻のステージが、私の中で配信ライブの在り方としてひとつの新しい答えになった。彼らがそうしてしまった。


ここまで惹き込まれると、他のジャニーズ所属グループが今どのようにステージと向き合っているのかも気になってくる。それぞれ、かなり趣向を凝らした構成だと聞いている。他のグループのファンの友人と語り合う機会を設けたい。

もともと興味はあったし、ライブを観たことがあるグループもいるけれど、これを機に本格的にジャニーズに詳しくなりそうだ。

 

 


最終公演、最後の挨拶での、阿部亮平の言葉に私はハッとした。


「僕はアイドルってヒーローみたいなものだなって本気で思っています。(中略)僕たちの存在であなたが元気になるかもしれない。そんなちょっとのことでいい。あなたを支えたい。」

  

そうか。ヒーローだったんだ。


私にとってSnow Manは、職場と家を往復する毎日、ギスギスした世の中に揉まれて荒んだ心に突然現れた9人の光り輝くニューヒーローだったのか。

良い歳して何を、とあなたは笑うかもしれない。でも私は本気だ。

 

今、世間からは「エンタメは不要不急」と言われている。


少しずつイベントが再開し始めているとはいえ、新しい生活様式のもと自由な外出が制限されている今、私のようなファンは直接声援を送ることすら出来ない。

それにも関わらず彼らは発信し続ける。私が頼りたいときすぐそばに彼らの声がある。口ずさむだけで、勇気が出ることもある。


ずっとライブに行き続けてきているバンドも、いつの間にかハマってしまったアイドルも、どんなに悔しい状況でも命を削るかのように全力で元気や癒しを配ってくれている。等身大の、傷だらけのヒーロー。


この文を読んでくださっているあなたにも、思い浮かぶ誰かがいるのではないだろうか。


私はSnow Manを好きになったおかげで、音楽に魅了され始めた頃の鮮やかな気持ちを思い出すことが出来た。

 

  

12月4日から全国の映画館でSnow Man主演作品「滝沢歌舞伎ZERO 2020 The Movie」が公開予定だ。

ライブとはまた一味違う彼らの姿を堪能できるように、そしていつか満員の会場で9人に会える日が来るように、今を踏ん張りたい。